雷雨のあとにエアコンが動かないとき、故障と決めつける前に確認したいこと

夏の繁忙期は、エアコン工事や修理の依頼が増える時期であると同時に、局地的な大雨や激しい雷が発生しやすい時期でもあります。
雷雨が通過したあとに、「急にエアコンの電源が入らなくなった」「冷房をつけても室外機が動かない」「ブレーカーが落ちてしまう」といった相談を受けることがあります。
大雨や雷の直後に不具合が発生すると、落雷によってエアコンが壊れたと考えたくなります。しかし、実際には落雷による基板故障だけでなく、停電後の一時的な制御異常、ブレーカーの作動、室外機への飛来物、浸水、配線の絶縁不良など、複数の原因が考えられます。
エアコン工事業者として大切なのは、最初から故障箇所を決めつけず、安全を確保しながら原因を整理することです。
雷はエアコンに直接落ちなくても影響する
雷による故障というと、建物や室外機に雷が直接落ちる場面を想像する人が多いかもしれません。
しかし、近くの電柱や電線、建物に雷が落ちた場合でも、その影響によって電線などに瞬間的な異常電圧が発生し、家庭内の電気製品へ入り込むことがあります。
エアコンには、室内機と室外機の運転を制御する電子基板が使われています。雷の影響で大きな電圧が加わると、電源回路や通信回路、インバーター基板などが損傷する可能性があります。
実際に、落雷による停電後、エアコン内部の部品が損傷した状態で通電が再開され、焼損につながった事例も報告されています。停電が復旧したからといって、すぐに何度も運転を試すことが安全とは限りません。
雷のあとに電源が入らない、焦げ臭い、運転ランプが異常に点滅する、ブレーカーを入れてもすぐに落ちるといった症状がある場合は、無理な再操作を避ける必要があります。
最初に確認したいのは停電とブレーカーの状態
雷雨のあとにエアコンが動かなくなった場合、すぐに本体故障と判断するのではなく、建物全体の電気が正常に復旧しているかを確認します。
エアコン専用回路のブレーカーだけが落ちていることもあれば、短時間の停電によってエアコンの制御が停止していることもあります。
ただし、落ちているブレーカーを何度も入れ直すのは危険です。一度入れてすぐに再び落ちる場合は、エアコン本体、配線、コンセント、専用回路などで漏電や短絡が発生している可能性があります。
「ブレーカーを上げれば使えるだろう」と繰り返し操作すると、部品の損傷を広げるだけでなく、発熱や発煙につながるおそれもあります。
現場では、ブレーカーが落ちたタイミング、停電の有無、雷が近くに落ちたか、異音や異臭がなかったかを確認すると、故障原因を絞り込みやすくなります。
室外機が動かない原因は基板だけではない
室内機から風は出るものの、室外機が動かず冷えない場合は、室外機基板の故障が疑われます。
しかし、室外機が動かないからといって、必ず基板が壊れているとは限りません。
室内機と室外機の通信異常、電源供給の不具合、ファンモーターの故障、圧縮機の保護停止、センサー異常などでも、似たような症状が発生します。
大雨を伴っていた場合は、室外機周辺に水がたまっていないか、電装部や配線部分に浸水した形跡がないかも確認が必要です。
見た目だけで基板故障と判断して部品を交換すると、別の場所に原因が残っていた場合、交換した部品まで再び故障させる可能性があります。
エラーコード、電圧、絶縁状態、通信状態などを確認し、故障箇所を丁寧に切り分けることが重要です。
大雨のあとは室外機周辺の変化にも注意する
一般的な雨で室外機が濡れただけなら、すぐに故障する可能性は高くありません。室外機は屋外で使用することを前提に設計されており、正しく設置されていれば、通常の雨風の中でも使用できます。
一方で、道路や庭が冠水し、室外機の下部まで水につかった場合は状況が異なります。
泥水が室外機内部へ入ると、基板、配線接続部、ファンモーターなどに水分や異物が残り、漏電や腐食の原因になることがあります。
水が引き、外側が乾いているように見えても、内部まで安全な状態になっているとは限りません。室外機が浸水した場合は使用を中止し、点検を受けることが推奨されています。
また、強風で飛ばされたビニールや落ち葉が室外機の吹出口をふさいでいたり、木の枝などがファンに入り込んでいたりすることもあります。
室外機から異音がする場合は、すぐに基板やモーターの故障と判断せず、周辺に異物がないかも確認する必要があります。
雷雨後の点検では聞き取りが重要になる
雷雨後のエアコン点検では、測定器を使った確認だけでなく、使用者からの聞き取りも大切です。
雷が鳴っている最中に運転していたのか、途中で停電したのか、停電復旧後に異常が出たのか、焦げ臭いにおいがしたのか、ブレーカーが落ちたのかによって、確認する順番は変わります。
また、雷雨の前から冷えが悪かった場合は、今回の天候とは関係なく、冷媒不足や熱交換器の汚れ、経年劣化などが原因になっている可能性もあります。
「雷雨のあとに壊れた」という情報だけで判断すると、本来の故障原因を見落とすことがあります。発生した時期と症状を整理し、天候との関係があるのかを確認することが必要です。
安全な判断が信頼される現場対応につながる
大雨や雷のあとにエアコンが動かなくなった場合、落雷による基板故障、停電後の制御異常、室外機の浸水、飛来物、配線不良など、さまざまな原因が考えられます。
現場で求められるのは、部品をすぐに交換することではありません。まず安全を確認し、症状が発生した経緯を聞き、電源、配線、室内機、室外機を順番に点検することが大切です。
特に、焦げ臭い、煙が出た、ブレーカーが繰り返し落ちる、室外機が水につかったといった状況では、無理に運転させてはいけません。
故障原因を丁寧に説明し、運転してよい状態なのか、修理や交換が必要なのかを分かりやすく伝えることも、エアコン工事業者の大切な役割です。
雷雨後の点検は、普段の故障対応以上に安全確認が求められます。一つずつ原因を整理し、無理な復旧を行わない判断が、事故を防ぎ、信頼される仕事につながります。


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