エアコン室内機の落下事故は、経験豊富な業者でも油断すると起きてしまう深刻なトラブルです。本記事では、落下に至る主な原因や施工で陥りやすいミス、防止するために現場で徹底すべきポイントを、工事業者向けに分かりやすく解説します。
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室内機の落下事故は決して珍しくないという事実
エアコン工事の現場に長く携わっていると、室内機の落下事故に関する話を耳にする機会は意外と多くあります。一般的には「滅多に起きない特別な事故」という印象を持たれがちですが、実際には繁忙期を中心にさまざまな現場で発生しています。量販店案件、工務店案件、新築、リフォーム、隠ぺい配管など、どの現場でも状況が重なれば起こり得るもので、決して他人事とは言えません。特に忙しい時期は確認作業が不足し、普段なら避けられるミスが事故につながりやすくなります。そのため、落下事故につながる原因を正しく理解し、施工の質を安定させることが非常に重要になります。
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ブラケットの固定不足が招く落下の典型例
室内機の落下事故で最も多い原因は、ブラケットの固定が不十分なことによるものです。石膏ボードの下地位置を正確に確認しないままビスを打ち込んでしまい、ビスがしっかり効いていない状態で取り付けてしまうケースは非常に多く見られます。石膏ボードの表面はある程度の硬さがあるため、ビスが刺さった感覚だけでは下地に届いているかどうかが判断しにくいのです。そのまま施工を進めてしまうと、室内機の重量や運転時の振動によってじわじわとビスが緩み、やがて落下につながってしまいます。
ブラケットが確実に固定されているかを確認するには、打ち込み時の感触やビスの入り方を丁寧に確認することが大切になります。下地探し器の使用や、壁の振動や素材の感触を手で確かめるなど、小さな判断の積み重ねが事故防止に直結します。どうしても下地が取れない場所であれば、強度の高いボードアンカーを選び、確実に支持力を確保することが求められます。
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貫通穴の位置ズレが引き起こす“半掛かり”による落下
落下事故の原因として次に多いのが、貫通穴の位置がブラケットとわずかにズレてしまい、室内機が正しい位置に掛からないまま取り付けられるケースです。見た目はきれいに収まっているように見えても、内部ではフックにしっかり噛んでおらず、いわゆる“半掛かり”の状態になっていることがあります。この状態は施工時には気づきにくく、わずかな振動や本体の揺れをきっかけに突然落下する危険性があります。
特に既存配管の差し替えや隠ぺい配管のリフォーム現場では、配管の取り回しにより本体の位置が微妙に制限されることが多く、ブラケットの中心位置と本体が一致しないことがあります。外観を優先してしまうと「しっかり付いたように見える」ため注意が緩みやすく、結果として噛み込み不足のまま仕上がってしまう場合があります。確実に噛んでいるかを手の感触で入念に確認することが非常に重要です。
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配管やドレンのテンションが本体を押し出す落下パターン
落下事故の中には、配管やドレンホースのテンションが原因で室内機が押し出されてしまうケースもあります。特に取り回しが厳しい現場では、配管の角度やスリーブ位置と本体位置に無理が生じ、配管側に“戻ろうとする力”が働き続けることがあります。このテンションは見た目からは分かりにくく、施工直後は問題がなくても、数日から数週間後に落下する場合があるため非常に厄介です。
近年の室内機は軽量化が進んでいるため、ほんのわずかなテンションでもブラケットからズレてしまうリスクがあります。配管の逃げや余裕を確保し、無理な曲げを避ける施工を行うことが、長期的な安全性を確保するために欠かせないポイントとなります。
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隠ぺい配管ならではの見落としやすいリスク
隠ぺい配管の現場は仕上がりが美しいものの、落下リスクはむしろ高くなりやすい傾向にあります。配管長が不足していたり、壁内の構造によって本体位置が制限されていることが多く、施工者が微妙な調整を強いられる場面が多いからです。さらに、隠ぺい配管は外観上の違和感が出にくく、噛み込み不足やテンションによる不安定さが分かりにくいため、確認不足のまま完了してしまうことがあります。
特に経験豊富な業者でも、忙しい時期には「いつも通り」で進めてしまい、細かな違和感を見逃してしまうことがあります。隠ぺい配管は現場ごとのクセが大きいため、慎重な確認が欠かせません。
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落下防止のために欠かせない最終チェックの重要性
室内機の落下を防ぐためには、基本的な確認作業を丁寧に行うことが最も効果的です。ブラケットの固定後には、上下左右へ軽く力を掛けて耐久性を確かめ、荷重が掛かった際に不自然な動きがないか確認します。配管が本体の掛かりを邪魔していないか、ドレンの勾配が適切に確保されているか、配管に無理な力が掛かっていないかを丹念にチェックすることが重要です。
取り付け後には室内機を少し持ち上げ、ブラケットのフックに確実に掛かっているかを手の感覚で確認します。このわずかなひと手間が、落下事故を防ぎ、長期的に安定した施工品質を守るための大きなポイントとなります。
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まとめ:落下事故は“正しい施工”で確実に防げるトラブル
室内機の落下事故は派手なトラブルではありますが、原因を理解し、確認作業を徹底することで確実に防ぐことができるものです。エアコン工事は細かい積み重ねが品質を左右する仕事であり、丁寧な施工を心がけている業者ほど評価が上がり、結果として仕事量にもつながっていきます。
今日の現場からすぐに実践できる内容ばかりですので、ぜひ落下防止の意識を高め、安全で確実な施工を続けていただければと思います。
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