はじめに:お掃除機能付きエアコンが“普通”になった時代へ
かつては高級な上位機種だけに付いていた“お掃除機能付きエアコン”も、ここ数年で一気に普及してきた。消費者の関心が“便利さ・手入れの手間軽減”へとシフトしているからだ。実際、「お掃除機能付き」を売りにするモデルは家電量販店でも売れ筋商品になっていて、非搭載モデルより数割占有する機種も多いという報告もある。
こうした流れのなか、クリーニング業者、取付業者、協力業者にとっては、それまで以上に“お掃除機能対応力”が営業面・技術面で競争力を左右する要因になってきている。
以下では、そんな変化の中で業者が押さえておくべき最新事情を、「市場動向/技術革新」「ユーザー意識の変化」「施工・クリーニング対応の課題と対策」「差別化戦略と将来展望」の四つの視点で整理していこう。
市場動向と技術革新:お掃除機能付きの躍進とその背景
普及率と需要の拡大トレンド
最近の調査では、お掃除機能付きエアコンの搭載率は年々増加しており、家電量販店での売れ筋モデルでは搭載モデルが約6割を占めるという報告もある。非搭載モデルとの差別化が必要な中級~上位モデルで特に搭載が広がっている。
また、需要拡大だけでなく、ハウスクリーニング業界全体でも「専門サービス化」が進んでいて、エアコンクリーニング分野が需要の牽引役になってきている。ハウスクリーニング市場全体が拡大している中で、分野特化・専門技術を持つ業者が評価されるようになってきた。
こうしたトレンドは、業者目線で見ると“競合も増えるが機会も拡大する”という両面を持っている。
技術進化と機能深化の動き
お掃除機能そのものも進化を続けていて、単なるフィルター自動清掃にとどまらず、空気清浄機能や除菌・抗菌技術を統合したモデルが目立ち始めている。ナノイーやプラズマクラスター、ストリーマなど、空気浄化系技術を内蔵する機種が、お掃除機能とセットで訴求されるようになってきている。
加えて、スマート家電との連携、IoT機能(スマホアプリ制御、運転モード最適化、運転予測メンテナンス情報通知など)を備えたモデルも増えてきた。エアコン業界全体の成長見通しも明るく、2030年にかけて日本の空調市場は年7%前後の成長が予測されているというレポートもある。
つまり、業者としては「お掃除機能対応+空気質対応+スマート化対応」ができるかどうかが、今後の差別化キーになる可能性が高い。
ユーザー意識・行動の変化:期待と誤解のはざまで
「掃除不要」幻想とその危険性
多くのお客さんが「お掃除機能付きだから掃除をしなくていい」と思って購入している。しかし実際には、お掃除機能ではフィルター表面のホコリは取れるが、熱交換器、送風ファン、ドレンパン、吹き出し口といった“内部の要所部分”までは手が届かない。専門のクリーニングをしないで放置すると、カビ・ホコリが蓄積し、臭い、効率低下、故障などのリスクが増すという現実がある。
実際、国内の調査で「エアコンの内部まで清掃したことがない人」が40%近くに上るという報道もある。これは、お掃除機能付きであっても、内部の清掃意識が薄い家庭が多いことを示しており、業者側からの啓蒙・提案がとても価値を持つ。
手間軽減ニーズと価格許容度の拡大
共働き家庭や高齢化社会の進展により、「掃除の手間を減らしたい」というニーズは強まっている。そのため、お掃除機能付きモデルへの関心は高まりやすい。また、こうした機能を持つモデルは価格的にやや高めになるケースが多いが、消費者は“利便性”や“安心感”を重視して追加コストを許容する傾向も出てきている。
これに対し、業者は「単に安くクリーニングします」だけでなく「この機能付き機の構造に対応できる高品質サービスを提供できます」という価値を訴えなければ、単価ダウン競争に巻き込まれる可能性もある。
施工・クリーニング対応の課題とノウハウ
市場・ユーザーの変化に応えるためには、業者としての技術力・対応力をアップデートしておく必要がある。以下は、特に注意すべき課題とそれに対するノウハウ。
内部構造対応力(複雑化への対応)
お掃除機能付きエアコンは、非搭載機と比べて構造が複雑になっている。ブラシ機構、モーター、センサー、ダストボックス、配線やギア・部品が複雑に絡んでいることが多い。分解・洗浄・再組立を行う際、部品破損・誤配線・配管漏れ・感電リスクなどが高くなる。
そのため、機種別の構造把握、部品の取り扱い経験、専用工具の導入、さらにはメーカーマニュアルや部品図面の入手・研究が必須。新人教育時にも、お掃除機能対応の訓練を十分に実施する必要がある。
クリーニング手順と安全対策
お掃除機能付き機をクリーニングする際は、以下点に特に留意しないといけない:
- 電装部品(制御基盤、モーター、配線など)を濡らさないように養生する
- ブラシ機構や可動部品を無理にこじらない、戻す方向や位置を正確に把握しておく
- 分解順序、部品管理(ネジ・部品の置き場)を徹底する
- 再組立時の動作確認を丁寧に行う
- 防カビ・抗菌処理、乾燥処理を組み込む(クリーニング後湿気残りを抑える)
- 洗浄材(洗剤・界面活性剤)と水圧の選定は慎重に、部品に負荷をかけない
これらを丁寧に実行できる技術を持った業者は、信頼性で差をつけられる。
価格設定と見積スキームの見直し
お掃除機能付き対応は通常機対応より手間がかかる分、時間コスト・リスクコストが上がる。業者はこれを価格に反映させなければ、赤字案件になる可能性がある。
見積段階で、「お掃除機能付き対応」「分解洗浄」「防カビ処理」「部品点検」などをオプション化し、透明性ある料金体系を示すこと。お客さんに「この機能付きだから追加手間があるんです」と納得してもらえるように説明資料を用意しておくのがベター。
また、定期メンテナンス契約を提案するのが効果的。1年~2年のスパンで見える契約にできれば、継続収益を確保できる。
差別化戦略と将来展望:競合優位を築くために
この状況下で業者が「選ばれる」ためには、ただ技術力が高いだけでは足りない。マーケティングや付加価値戦略も不可欠だ。
「お掃除機能対応のプロフェッショナル」であることを前面に出す
お掃除機能付きエアコンが主流になっているからこそ、その対応力を売りにできる。例えば、ホームページ・パンフレットに「お掃除機能対応対応可」「お掃除ロボット機能搭載機種も安心」などの文言を入れる。比較表を出して、「非対応業者との差」を可視化しておくと説得力が増す。
空気質や衛生を重視する提案を増やす
お掃除機能に加えて、「抗菌・除菌・消臭処理」「空気清浄機能の併設」「室内空気質モニタリング」などをセットで提案するプランを持っておくと、顧客ニーズの上位層を取りにいける。空気質への関心は年々高まっており、エアコンを「ただ涼しくする機械」から「住環境クリーン機器」の中心に据える視点が重要。
スマート化・IoTメンテナンスへの対応
将来的には、エアコンが自己予測でメンテナンスを通知してくるような仕組みが当たり前になるかもしれない。業者側でも、それに応じた保守サービスやクラウド連携サービスを提供できるよう準備しておくと先行優位を取れる。
合作・連携や教育体制強化も鍵
ある地域・エリアでカバーできる協力業者網を作る、技術交流をする、最新機種勉強会をするなど、人的資源のネットワーク強化が重要になる。特に、新しいお掃除機能付きモデルがどんどん出てくるため、情報アップデート力を持つ組織体が有利。
まとめ:主流化時代を生き残るための意識転換
お掃除機能付きエアコンが主流になった今、業者に求められるのは「対応できるかどうか」だけではなく、「どう差別化できるか」「どう高付加価値を提供できるか」という視点。ユーザーの“掃除しなくていい”という期待には誤解が含まれているからこそ、正しく説明しながら技術を提供できる業者が選ばれる。
内部構造対応力、施工ノウハウ、価格設計、提案力、協力体制、そして未来を見据えたサービス設計。これらを抑えておけば、これからもお掃除機能付き機種が増えても、業者側のポジションを強く維持できると思う。
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