「夏場のエアコン、冷房と除湿ってどっちが電気代安いの？」
この質問、エアコン工事の現場でもよく聞かれます。
特に最近では節電意識も高まっているため、冷房か除湿か、どちらを使うべきか迷う人は多いのが現状です。
結論から言うと、“使い方次第”というのが正直な答え。
ただし、冷房と除湿の仕組みや運転の種類をしっかり理解しておくことで、効率的な使い分けができ、結果として電気代も節約できます。
この記事では、冷房と除湿の機能的な違いや消費電力の傾向、さらには使い分けの実例まで、エアコン業者目線で丁寧に解説していきます。
冷房と除湿、仕組みの違いを知るところから
まず大前提として、冷房も除湿もどちらもエアコンの中のコンプレッサーを使って動かしています。そのため「除湿＝弱いから安い」と思われがちですが、実はそれは誤解です。
冷房運転は、室内の熱を外に逃がすことで室温を下げる仕組みです。
一方、除湿運転は空気中の水分を取り除くのが目的。つまり“温度”よりも“湿度”にアプローチする運転なんですね。
除湿にはさらに２種類あります。
- 弱冷房除湿：空気を冷やして湿気を取り除いたあと、そのまま送り出す。冷房に近い感覚。
- 再熱除湿：一度冷やして除湿し、再度加熱して室温を保つ。温度はあまり下がらないが電気代が高め。
ここがポイントで、再熱除湿は冷やしてから温め直すという工程があるため、実はかなりの電力を使っているのです。
特に高機能なエアコンほどこの再熱除湿を採用していることが多く、知らずに使って電気代が高くつくケースも多く見られます。
電気代を比較するとどうなる？
「冷房」と「除湿（再熱除湿含む）」の平均的な電力消費を比べると以下のようになります。
- 冷房：平均700〜1000W程度（運転状況による）
- 弱冷房除湿：冷房と同程度かやや少なめ
- 再熱除湿：1000〜1300W程度（機種により大きく異なる）
つまり、再熱除湿は冷房よりも電気代がかかることがあるんです。
夏場のように外気温が高い時期には、除湿では室温がなかなか下がらず、かえって長時間運転になる傾向もあります。
実際、ある家電メーカーの試算では、再熱除湿を8時間使用した際の電気代は約200〜250円に対し、冷房は約150〜180円程度に抑えられるというデータもあります。
このように、除湿だから電気代が安いとは限らないのが現代のエアコン事情です。
湿度対策に除湿を使うなら“時間帯と気温”が重要
それでも除湿が役立つシーンはあります。
たとえば梅雨時期や真夏の夜、気温はそこまで高くないのに湿気だけがムシムシしている時。
このような時に冷房を使うと、体が冷えすぎてしまい体調を崩すこともあります。
そんな時にこそ、弱冷房除湿を短時間だけ使うという方法が効果的。
湿気をある程度取り除くことで、体感温度を下げてくれるので、快適性が上がります。
ただし再熱除湿を長時間使うと、温度は下がらないのに電気代だけが高くなるという“損な運転”になることがあるので注意が必要です。
冷房は「設定温度＋風量」で節電効果が変わる
冷房運転を選ぶ場合、ポイントとなるのが設定温度と風量の調整です。
冷房を28℃設定にして、風量は「中」または「自動」に設定するのが理想。
さらにサーキュレーターや扇風機を併用することで、室内全体の空気を循環させて、エアコンの負荷を減らせます。
加えて、日中はカーテンやブラインドで直射日光を防ぐことも節電のひとつ。
エアコンが余計に働かずにすむため、結果として電気代が安くなります。
フィルター掃除は最強の節電策
意外と見落とされがちですが、エアコンのフィルターを定期的に掃除することで、電力消費は約5〜10％も削減できると言われています。
ホコリがたまると風量が落ちて、設定温度まで下がるのに余計な時間と電気がかかるためです。
2週間に1度、最低でも月1回はフィルターを外してホコリを取る。
これだけでもかなりの節電になりますし、エアコン本体の寿命延長にもつながります。
実際の現場でも感じる使い分けの重要性
現場で作業していると、お客様から「電気代が高くて…」と相談されることがよくあります。
中には、ずっと除湿で運転していたけどまったく涼しくならないし電気代も下がらない…と悩んでいた方もいらっしゃいました。
そんな時に冷房＋扇風機の組み合わせをアドバイスしたところ、「部屋が早く涼しくなるし、電気代も安くなった！」と喜ばれたケースもあります。
こうした“ちょっとした使い方の工夫”こそ、現場を知っているエアコン業者だからこそ伝えられるポイントだと思っています。
まとめ：冷房と除湿の電気代差は“使い方次第”
冷房と除湿、どちらの方が電気代が安いのか？
単純な比較では語れない部分も多いですが、基本的には冷房の方がコントロールしやすく節電しやすいというのが現場の実感です。
除湿も、使い方次第で非常に快適な室内環境をつくることができますが、再熱除湿が長時間続くような使い方は注意が必要です。
設定温度、風量、湿度、使用時間帯、そしてフィルター掃除など…
ちょっとした工夫を積み重ねることで、電気代は確実に下げることが可能です。
エアコンをどう使うかは、使う人の工夫次第。
そして、そのアドバイスをできるのが、私たちエアコン業者の大事な役割でもあると考えています。
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