エアコン工事と一口に言っても、その現場の状況は千差万別です。地上階での作業もあれば、2階、3階、さらには屋根の上や足場を組まなければならないような高所での作業もあります。特に最近では、建物の構造が複雑になっていたり、室外機の設置スペースが限られていたりすることで、高所作業を避けられない案件も増えてきました。
そして、この「高所作業」こそが、エアコン工事において最も慎重にならなければいけないポイントです。作業者自身の命を守ることはもちろん、周囲の人々への安全配慮、さらには会社や依頼主からの信頼を損なわないためにも、高所作業の正しい知識と意識を持つことは欠かせません。
今回は、エアコン工事に携わるすべての職人に知っておいてほしい「高所作業の基本的な注意点」について、具体的な事例も交えながら詳しくお話ししていきます。
高所作業とはどこから？
まず最初に理解しておきたいのは、「高所作業」とはどこからが該当するのかという点です。労働安全衛生規則では、**高さ2メートル以上の場所での作業は「高所作業」**と定義されています。これは、脚立の上での配管作業や、ベランダの手すりを超えて身を乗り出して作業をするようなケースも含まれます。
つまり、エアコン工事における多くの現場は、この高所作業に該当すると言っても過言ではありません。特に戸建ての2階部分の室外機設置や、屋根上への室外機設置作業などは、日常的に起きうる高所作業です。
高所作業で求められる基本装備
高所作業では、「慣れ」や「経験」だけでは命を守れません。装備が正しく、適切に使用されていることが大前提となります。中でも重要なのがフルハーネス型墜落制止用器具の着用です。
2019年の法改正以降、一定の高所作業においてはフルハーネスの着用が義務化されました。特に屋根上や足場を使用する作業では、安全帯ではなくフルハーネスでの対応が原則です。まだ使用に慣れていない方もいるかもしれませんが、着用方法や命綱の取り方などはしっかりと習得する必要があります。
また、脚立やはしごの設置方法にも注意が必要です。脚立は水平でしっかりした地面に設置し、最上段に立たないのが原則。はしごは壁面から適切な角度（約75度）で立て掛け、上部は必ず固定すること。ほんの数センチのズレが転倒につながることを忘れてはいけません。
天候による判断も重要
高所作業においては、「天候の読み」も職人の大事なスキルです。晴れていても風が強ければバランスを崩しやすくなりますし、前日の雨で屋根やベランダが滑りやすくなっている場合も注意が必要です。
特に夏場の午後は突風や夕立が発生しやすく、空模様をよく観察しながら作業を進める必要があります。たとえ工期が押していたとしても、無理に作業を続けて事故を起こせば元も子もありません。中止の判断ができる職人こそ、現場で信頼される存在です。
一人作業のリスクとチームワーク
高所作業を一人で行うのは極めて危険です。特に足場やはしごを使用する作業では、地上にもう一人の補助者がいるかどうかが事故防止の大きな分かれ道になります。補助者は、脚立やはしごを支えたり、道具の受け渡しをしたりするだけでなく、作業者の異変にすぐ気づいて対応するという役割も担っています。
「一人でやった方が早い」「人を呼ぶのが面倒」――そうした考えは、事故を招く大きな要因です。特に若い職人ほど無理をしがちですが、現場はチームで支え合う場であることを忘れてはいけません。
実際に起きたヒヤリ・ハット事例
ここで、実際に業界内で報告された「ヒヤリ・ハット」事例をご紹介します。
ある現場で、2階のベランダから手すり越しに室外機を吊り下ろしていた際、固定していたロープが緩み、室外機が落下しそうになるという事故が発生しました。幸い、落下を未然に防げたためケガ人はいませんでしたが、お客様の敷地内にあった車を傷つけてしまい、損害賠償が発生したとのことです。
このように、高所作業での「モノの落下」も重大なリスクです。作業者本人だけでなく、周囲への安全配慮を怠ってはならないことを改めて実感させられる事例です。
高所作業をこなせる職人は、信頼と仕事を得られる
ここまでお話しした通り、高所作業には多くのリスクが存在します。しかし裏を返せば、こうしたリスクを的確に管理し、安全に作業を完了できる職人こそ、現場で最も重宝される存在だということでもあります。
最近では、家電量販店を中心に、「高所作業に対応できる協力業者を優先的に依頼する」という動きも広がっています。つまり、高所作業ができる＝仕事の幅が広がるということです。
「高所作業にはまだ自信がない」という方でも、最初は低層階や足場がしっかり組まれた安全な現場から経験を積んでいけば大丈夫です。安全管理の教育を受けながら徐々にステップアップしていく環境が整っている業者を選ぶことも重要なポイントです。
最後に
エアコン工事における高所作業は、ただ作業をこなすだけではなく、「命を守りながら仕事をする」という強い意識が求められます。安全対策を徹底し、チームワークを大切にしながら、一つひとつの現場を丁寧にこなしていく――その姿勢が、信頼を得ることにつながり、結果として仕事の依頼も増えていきます。
現在、私たちは高所作業を含めた幅広い現場に対応可能なエアコン工事の協力業者様を募集しています。安全を第一に考え、誠実に現場に向き合ってくださる方であれば、経験年数や年齢は問いません。共に成長できる関係を築いていけたらと思っています。
「もっと仕事の幅を広げたい」「安定した現場を確保したい」とお考えの方、ぜひ一度ご相談ください。あなたの技術と経験が、きっと現場で必要とされています。
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