エアコン工事における真空引きの重要性とは?

エアコンを取り付ける際、見落としがちな作業の一つに「真空引き」があります。真空引きは、エアコンの配管内部を完全に真空状態にすることで、冷媒の流れをスムーズにし、エアコン本来の性能を発揮させるための重要な作業です。しかし、現場ではこの工程を適当に済ませたり、省略したりするケースも少なくありません。そこで今回は、真空引きの重要性や、正しく行わなかった場合のリスクについて詳しく解説していきます。

  1. 真空引きとは?

真空引きとは、エアコンの配管内部に残った空気や水分、不純物を取り除く作業のことを指します。エアコンの冷媒配管の内部には、施工時に空気や湿気が入り込んでしまうため、そのまま冷媒を流してしまうと、エアコンの性能が落ちるだけでなく、故障の原因にもなります。

この作業は、真空ポンプという専用の機械を使って行います。ポンプで配管内の空気を抜き、内部の圧力を大気圧(約1013hPa)から-100kPa(ほぼ真空状態)まで低下させることで、冷媒が正しく循環できる状態を作ります。

  1. なぜ真空引きが重要なのか?

(1)水分や不純物の除去

配管内に湿気が残っていると、水分が冷媒と混ざり、**アイスプラグ(氷の詰まり)**を引き起こす可能性があります。特に冷房運転時に低温状態になると、配管内部で水分が凍結し、冷媒の流れを妨げてしまいます。その結果、エアコンの効きが悪くなったり、運転が止まってしまうこともあります。

(2)冷媒回路の正常な作動

エアコンの冷媒回路は、空気や不純物が入ることで圧力バランスが崩れ、冷媒の流れがスムーズにいかなくなります。真空引きをしないままエアコンを運転すると、冷媒が本来の性能を発揮できず、エアコンの効きが悪くなる原因となります。

(3)コンプレッサーの負担軽減

真空引きが不十分な状態でエアコンを稼働させると、配管内の不純物がコンプレッサーに負担をかけ、異常な高圧・高温状態を引き起こすことがあります。これにより、コンプレッサーの劣化が早まり、最悪の場合、焼き付きや故障につながります。

(4)ガス漏れリスクの低減

エアコンの冷媒は、密閉された冷媒回路の中を循環しているため、外部の空気が入ると気体の膨張や圧力変化が発生しやすくなります。適切に真空引きを行わないと、ガス漏れのリスクが高まり、冷媒不足による性能低下や修理の手間が増える原因となります。

  1. 真空引きをしないとどうなるのか?
  • エアコンの冷房・暖房の効きが悪くなる

真空引きをせずに冷媒を充填すると、配管内に混入した空気や水分が冷媒の流れを妨げ、冷暖房の効率が大幅に低下します。特に夏場の冷房時に「全然冷えない」「風は出るけどぬるい」といった症状が現れることがあります。

  • エアコンが異常停止する

冷媒回路内に水分やゴミが残ったままだと、冷媒の循環が不安定になり、圧力異常や凍結を引き起こし、エアコンが停止する原因になります。エラーコードが出て運転ができなくなり、最悪の場合、基板やセンサーの故障につながります。

  • エアコンの寿命が短くなる

真空引きをせずにエアコンを使い続けると、コンプレッサーが無理な負荷を受けるため、寿命が短くなります。新品のエアコンでも、本来10年以上持つはずのものが、数年で故障してしまうケースもあります。

  • 修理やガス補充のコストが増える

真空引きをせずにエアコンを取り付けると、あとでガス漏れや冷媒不足が発生しやすくなります。補充や修理にコストがかかるため、結果的に施工業者の信用問題にも関わってきます。

  1. 真空引きを正しく行う方法

真空引きは**「やったつもり」ではなく、確実に行うことが大切**です。以下のポイントを押さえて、適切に作業を行いましょう。

【1】適切な時間をかけて真空引きをする

一般的な家庭用エアコン(2分・3分配管)であれば、5分〜15分程度の真空引きが必要です。ただし、配管の長さが長かったり、配管径が太かったりする場合は、それ以上の時間が必要になります。

【2】真空計を使用して数値で確認する

「真空引きをしたつもり」ではなく、真空計(ゲージ)を使用して、数値を確認することが重要です。目安として、-100kPa(-0.1MPa)まで引いた状態で、5分以上安定していればOKです。

【3】規定時間の放置チェックをする

真空状態を作ったあと、数分間放置して圧力が戻らないことを確認します。もし数値が戻る場合、どこかでガス漏れが発生している可能性があるため、フレア接続部の締め直しが必要です。

  1. 真空引きを省略する業者には要注意!

エアコンの取り付け工事では、「真空引きをしない」「短時間で終わらせる」といったずさんな施工をする業者も存在します。工事費用が極端に安い業者や、作業時間が異常に短い業者には注意が必要です。適切な真空引きを行わなかったことで、すぐにエアコンが故障してしまったり、効きが悪くなるケースがあるため、施工品質を重視することが大切です。

  1. まとめ

エアコン工事の真空引きは、エアコンの性能を最大限に引き出し、長く快適に使用するために欠かせない工程です。水分や不純物を取り除くことで、エアコンの効率を向上させ、故障リスクを減らすことができます。施工業者としても、適切な真空引きを行うことで、顧客からの信頼を得ることができ、トラブルを未然に防ぐことができます。しっかりとした真空引きが、長く快適にエアコンを使うための第一歩です。


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