隠ぺい配管は見た目が美しく人気のある施工方法ですが、その分施工難易度が高く、トラブルの原因にもなりやすい工事です。この記事では、隠ぺい配管が難しい理由や、失敗を防ぐための注意点を現場目線で詳しく解説します。
隠ぺい配管は、エアコン工事の中でも「最も職人の腕が試される施工」と言っても過言ではありません。見た目の美しさや建物との一体感が得られる反面、少しの判断ミスや手抜きで、壁内結露や水漏れ、ガス漏れといった深刻なトラブルにつながることもあります。ここでは、なぜ隠ぺい配管が難しいのか、そしてどの部分で特に注意が必要なのかを、現場経験をもとに詳しく説明していきます。
壁の中の配管ルートが見えない
隠ぺい配管の最大の難しさは、施工中も完成後も“配管が見えない”という点にあります。
露出配管であれば、曲げ角度や勾配、接続状態を目視で確認できますが、隠ぺい配管では一度配管を通してしまうと、壁を開けない限り確認できません。つまり、施工時の段階で完璧に仕上げる必要があるということです。
もしわずかでも曲げが強すぎたり、ドレンの勾配が足りなかった場合、施工後に確認する手段はほとんどなく、実際にエアコンを運転してから初めて「水が漏れている」「冷えが悪い」と発覚するケースもあります。やり直しが効かない工事だからこそ、慎重な判断と正確な施工が求められるのです。
ドレン勾配の確保が難しい
隠ぺい配管で最もトラブルが起きやすいのがドレン(排水)の勾配不良です。冷房時に発生する結露水を外へ流すためには、わずかでも下り勾配を確保しなければなりません。
しかし、壁内や天井裏を通す隠ぺい配管では、梁や柱、電気配線などの障害物が多く、理想的な勾配を確保できないケースが頻発します。
この問題を軽視すると、水が逆流して壁内に溜まり、クロスのシミや天井漏れの原因になります。実際に「施工から1年後に天井にシミが出た」「ドレンが詰まり、部屋の中に水が漏れた」というクレーム事例も少なくありません。
経験豊富な職人は、図面段階から勾配の確保を意識し、できない場合はポンプアップ方式に切り替えるなど柔軟に対応しています。
既存配管の再利用リスク
リフォームやリノベーション現場では、既存の隠ぺい配管を再利用するケースも多いですが、ここに大きな落とし穴があります。
古い配管の内部には、オイルや汚れ、冷媒の残留ガスが残っていることがあり、そのまま新しいエアコンを接続すると冷媒漏れやコンプレッサーの故障につながります。
さらに、以前の工事で配管の曲げが強すぎたり、つぶれがあった場合は冷媒の流れが悪くなり、冷暖房効率が低下することも。壁を壊さない限り中の状態を確認できないため、再利用はリスクを理解したうえで慎重に判断する必要があります。再利用前には真空引きや気密試験を必ず行うことが鉄則です。
ガス漏れチェックがしにくい
隠ぺい配管では、接続部やフレア加工部が壁内にある場合、ガス漏れの確認が非常に難しくなります。通常、露出配管なら石けん水や電子リークディテクターで簡単にチェックできますが、壁の中に接続部があると確認ができません。
そのため、配管接続はできるだけ壁の外側で行うことが基本です。もしどうしても壁内で接続せざるを得ない場合は、溶接(ろう付け)で確実に接続するか、点検口を設けておくなどの対策が必要になります。
ガス漏れが壁の中で発生すると、修理には壁の解体が伴うため費用が高額になり、信頼を失う結果につながることもあります。施工時のわずかな気の緩みが、後々大きなダメージとなる部分です。
図面と実際のズレ
新築時の隠ぺい配管では、建築図面上にルートが記載されていても、実際の建物では梁の位置や断熱材の厚みが微妙に異なることがあります。
図面どおりに施工しようとしても、思ったように配管が通らないケースも多く、現場での即時判断力と柔軟な対応が欠かせません。経験の浅い業者だと、無理に通して配管を潰してしまったり、強引に曲げてしまうこともあります。
このような現場対応力は、図面だけでなく“構造を読む力”が必要です。実際に建築構造を理解し、どこに柱が通っているか、どの位置なら配管が通せるかをイメージできる職人ほど、隠ぺい配管での失敗が少ない傾向にあります。
冷媒管の長さ・曲げの管理
隠ぺい配管では、露出配管に比べて配管距離が長くなりやすく、曲がり箇所も増えます。配管が長すぎると冷媒の流量が落ち、機器の性能を十分に発揮できない可能性があります。
また、曲げが多いと内部圧力の損失が大きくなり、コンプレッサーへの負担も増加します。メーカーによっては「配管長15m以内」「曲げ5か所以内」などといった施工条件を設けているため、事前に確認しておくことが重要です。
特に隠ぺい配管は壁や天井の中を通すため、あとから調整が難しく、最初の段階で“最適なルート”を見極める力が求められます。
隠ぺい配管で信頼を得るために
隠ぺい配管は「難しい=避ける」ではなく、「難しい=チャンス」です。
他の業者が敬遠するような隠ぺい案件を正確にこなせる業者は、確実に評価されます。実際にハウスメーカーやリフォーム会社から「隠ぺい対応できる職人を優先的に呼びたい」と言われることも珍しくありません。
信頼を得るためには、まず基本を徹底することです。配管ルートの確認、ドレン勾配の確保、真空引きの精度、施工記録の保存。どれも地味な作業ですが、これを丁寧に行える業者が“本物のプロ”として選ばれます。
まとめ
隠ぺい配管は、見た目を美しく仕上げるだけでなく、住宅の価値を高める施工でもあります。
しかしその分、配管ルートの制約や確認の難しさがあり、施工精度が求められる非常にシビアな作業です。勾配、長さ、曲げ、接続位置、気密性――どれか一つでも疎かにすればトラブルにつながります。
だからこそ、隠ぺい配管を正しく理解し、確実な施工を行える業者は、今後ますます重宝されていきます。美しさと技術の両立、それが隠ぺい配管の真の魅力です。
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